ドル円マーケットレポート【2024年11月版】トランプ氏が大統領に当選、トランプトレードは再出現するか

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トランプ大統領が再誕生

第47代米大統領 ドナルド・トランプ

2024年11月5日、米国大統領選挙が実施された。

事前の世論調査などでメディアは、ハリス氏とトランプ氏の接戦を伝えており、
選挙確定まで数日かかる可能性も指摘されていた。

ところが、開票速報が流れるにつれて、トランプ氏の勢いが予想以上に強いことが明らかになった。
「隠れトランプ支持層」の存在が大きな役割を果たしたといえる。

激戦州7つ(上記画像の赤い旗の州)のうち、6つでトランプ氏が勝利。

執筆時点で開票作業が続いているアリゾナ州もトランプ氏が勝利すると予想されている。
また、上院・下院も共和党が勝利し、「トリプルレッド」となる見通し。

得票数もトランプ氏が上回っており、トランプ氏・共和党の歴史的な勝利となった。

日本時間6日午後トランプが勝利宣言をした。為替相場を確認してみよう。

米国選挙戦を振り返ってみると、10月は「トランプトレード」が継続していた。
9月まではハリス氏が優勢だったが、トランプ氏の支持率が上昇し、徐々に接戦になっていった。

下記はドル円の日足チャートである。

トランプ次期大統領の政策は、大規模財政支出を促す内容であるため、インフレが懸念される。インフレになると、米FRBは再度利上げを検討せざるを得なくなる。そうなれば、為替相場はドル高になる。

上記の考えのもと、「トランプ氏優勢」という報道から大統領選当選まで、ドル高円安相場となり、139円台から154円台まで上昇した。すでに15円(1500Pips)上昇している。

その他のファンダメンタル

  • 米FRBは2会合連続利下げ実施
  • トランプトレードの巻き戻し
  • 日銀の利上げ観測

ドル円の週足分析

ドル円の週足を分析してみよう。

直近の動きとしては、9月中旬に139円台の安値を付けた後、反発。
包み足を形成し、大統領選直後には154円台へトライする勢いだった。

しかし、大統領選後のFOMCでは9月に続く利下げが実施され、ドル売りが強まった。
結果的に152円台で終値を迎えている。

週足テクニカル分析

2024年9月安値139.58円を起点とし、直近の下落トレンドにフィボナッチリトレースメントを描画する。

【ドル円/週足】

今後、注目する抵抗帯は、153.50円だ。

フィボナッチリトレースメントの61.8%に該当し、戻り売り高値を形成する「最後のボーダーライン」と捉えられるだろう。153.50円を明確に上抜けすれば、全戻しの可能性があり、161円台を目指す可能性がある。

支持帯として注目するのは、150.50円~151円台だ。

151.50円には52週移動平均線(年間移動平均)、151円はフィボナッチリトレースメントの半値、一目均衡表の基準線が控える。相当堅いと考えられる。

ATR分析と心理的節目価格

過去のボラティリティを基に、心理的に節目となる価格帯を特定する手法がある。
月足の過去1年間の平均ボラティリティは7.7(770Pips)となっている。

つまり、平均すると1ヶ月間に約7.7円変動しているという意味だ。
11月の始値を151.990円とすると、以下のように計算できる。

  • 上限値:151.990+770Pips=159.69円
  • 下限値:151.990-770Pips=144.29円

また、平均ボラティリティの1/2を、始値から増減した価格帯も計算してみよう。

  • 上限値:151.990+385Pips=155.84円
  • 下限値:151.990-385Pips=148.14円

当面、上値抵抗帯目安は155円台後半、下値支持帯目安は148円前半と予想できる。
トランプ相場が再び盛り上がるのか、FRBによる利下げを受けて円高圧力が強まるのかに注目だ。

ドル円の日足分析

ドル円の日足テクニカル分析

200日移動平均線が最大の注目ポイントとなる。200日移動平均線で少なくとも4回反発していることが確認できる。
大統領選当日はトランプ勝利確実という報道で大陽線が出現している。

200日移動平均線が支持帯として機能している限り、上目線でのトレードをイメージしたい。

【ドル円/日足】

また、平行チャネルを描画すると、中央線が上昇トレンドラインとして機能しており、支持線となっている。
トランプ相場が盛り上がれば、再び押し目買いが入りそうだ。

一方、MACDを見ると、シグナル線をMACD線が下回っている。
MACDヒストグラムも0を下回っており、下落圧力が強まっている。

米FRBは利下げを実施し、ドル安の要因となる。
トランプ相場の影響が強いのか、利下げによるドル安傾向の影響が強いのかを見極める必要があるだろう。

ATR分析と心理的節目価格

週間の平均ボラティリティは約3.8円(380Pips)となっている。つまり、ドル円は1週間で約3.8円近く変動している。
始値が152.29円とすると、心理的節目は以下のように計算できる。

  • 上限:152.29円+380Pips=156.09円
  • 下限:152.29円-380Pips=148.49円
月間予想レンジ148.50円~156.28円
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